学習塾には中途解約の権利がある場合があります|要件の確かめ方
塾の規約を読むと、たいてい「一度支払った月謝は返金しない」と書いてあります。
その一方で、学習塾と家庭教師には、法律の側に中途解約の規定があります。条件を満たす契約なら、途中でやめられて、請求される額にも上限があります。
この記事は、消費者庁の特定商取引法ガイドを2026年8月22日に読んで整理したものです。特定の契約が該当するかどうかは判断していません。要件と、確かめる方法だけを書いています。
対象は7つの役務
特定商取引法には「特定継続的役務提供」という区分があります。長期・継続的なサービスと、それに対する高額の対価を約束する取引です。
対象は次の7つに限られています。
| 役務 | 期間 | 金額 |
|---|---|---|
| エステティック/美容医療 | 1月を超えるもの | いずれも5万円を超えるもの |
| 語学教室/家庭教師/学習塾/パソコン教室/結婚相手紹介サービス | 2月を超えるもの | いずれも5万円を超えるもの |
期間と金額の両方を満たしたときだけ、この規定が働きます。片方だけでは対象になりません。
出典:消費者庁 特定商取引法ガイド(2026年8月22日確認)
学習塾と家庭教師は、場所で分かれる
同じ「学力の教授」でも、条文は提供場所で2つに分けています。
- 学習塾:学校の入学試験に備えるため又は学校教育の補習のための学力の教授 (役務提供事業者の事業所その他の役務提供事業者が当該役務提供のために用意する場所において提供されるものに限る)
- 家庭教師:同じ学力の教授(いわゆる学習塾以外の場所において提供されるものに限る)
オンラインで自宅から受ける形は、条文の文言では「学習塾以外の場所」に当たると読めます。その場合の類型は家庭教師になります。
ただしこれは当サイトの読み方で、確定した見解ではありません。どちらに当たるかで、あとに出てくる上限額が変わります。気になるなら、契約前に事業者へ直接聞いてください。
満たしていれば、2つの権利が働く
クーリング・オフは8日間
法律で決められた書面を受け取った日から数えて8日以内であれば、書面で契約を解除できます。
起算点は「契約した日」ではなく「法定書面を受け取った日」です。書面が渡されていなければ、8日は数え始まりません。
中途解約には上限がある
8日を過ぎても、将来に向かって契約を解除できます。そのとき事業者が請求できる額には上限があります。
| 提供開始前 | 提供開始後 | |
|---|---|---|
| 家庭教師 | 2万円 | 5万円 または 1か月分の授業料相当額のいずれか低い額 |
| 学習塾 | 1万1000円 | 2万円 または 1か月分の授業料相当額のいずれか低い額 |
いずれも、すでに提供された分の対価は別途とされています。
たとえば月謝が税込16,170円の契約で、家庭教師の類型に当たり、提供開始後に解約する場合。上限は「5万円」と「1か月分の授業料相当額」の低いほうなので、1か月分のほうが低ければそちらが上限になります。
だから、書面が渡されるかが要になる
法律は事業者に2つの書面を義務づけています。
- 契約前:契約の概要を記載した書面(概要書面)
- 契約後:遅滞なく、契約内容を明らかにした書面(契約書面)
この2つが渡されるかどうかを、申し込む前に確認してください。クーリング・オフの8日はここから数えます。
聞き方:「概要書面と契約書面はいただけますか」「契約期間は何か月で定められますか」
契約期間の定め方が、そのまま該当するかどうかを決めます。月ごとの契約で期間の定めがなければ、「2月を超える」に当たらない可能性があります。逆に半年や1年でまとめる契約なら、金額の要件も一緒に満たしやすくなります。
規約に「返金しない」と書いてあった場合
オンライン塾の規約には、たとえばこういう記載があります。
「一度支払った入会金及び月謝は一切返金しないものとします」
この記載と、法律の中途解約の規定のどちらが優先するかは、この記事では判断できません。契約が特定継続的役務提供に該当するかどうかで話が変わるからです。
やることは3つです。
- 概要書面と契約書面を受け取る。そこに契約期間と総額が書かれます
- 期間が2か月を超え、金額が5万円を超えるかを自分で計算する
- 判断が付かなければ、消費生活センターに聞く。電話は局番なしの188です
ここまでやってから申し込めば、あとで揉める要素が減ります。そして多くの場合、聞いた時点で事業者側から明快な答えが返ってきます。
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よくある質問
学習塾は特定継続的役務提供の対象ですか。
対象の7役務に含まれています。ただし該当するのは「2か月を超える期間」かつ「5万円を超える金額」の契約に限られます(消費者庁「特定商取引法ガイド」2026年8月22日確認)。
オンラインの個別指導は学習塾ですか、家庭教師ですか。
条文上、学習塾は「事業者の事業所その他事業者が用意する場所で提供されるもの」、家庭教師は「学習塾以外の場所で提供されるもの」とされています。自宅で受ける形は後者に当たると読めますが、確定的なことは契約前に事業者へ確認してください。
クーリング・オフは何日以内ですか。
法律で決められた書面を受け取った日から数えて8日以内です。
途中でやめたら、いくら請求されますか。
上限が決まっています。家庭教師は提供開始後で「5万円または1か月分の授業料相当額のいずれか低い額」、学習塾は「2万円または1か月分の授業料相当額のいずれか低い額」です(提供済みの対価は別途)。
規約に「返金しない」と書いてあっても解約できますか。
この記事では判断できません。該当するかどうかは契約の期間と金額の定め方によります。まず概要書面と契約書面を確認し、疑問があれば消費生活センター(局番なしの188)へ相談してください。